きみとボクは友達。
初めての同族の友達。


友達だと、思ってた。











ともだち
















『ミトス…やっぱり…』

『やっぱり?やっぱり信用できなかった?僕だってお前なんか信じちゃいなかったさ』










「………」
信じたかった。
でも、きみは信じてくれなかった。



ミトス、ボクはきみが大好きだったよ。

ミトス、ずっと友達だと思ってたよ。



ミトス。

ミトス。






「ジーニアス」
「ぅわ!!…ロイドか。おどかさないでよ」
「何度も呼んだぞ」
「…ごめん…」


ユミルの森。深い深い森で、木々の隙間から月明かりが差し込む。
美しい森。しかし、不気味な程静かな森。
普段殆ど人が立ち入ることのない、ある意味隔絶された空間。
むせ返るような緑の香りのなか、寝転がる草の感触が心地いい。


「何考え込んでたんだ?」
隣に座りながら、なるべく落ち着いた声で話す。
夜、しかも街の外なので、大きな声を出すと魔物が襲ってくるかもわからない。

「色々。ボクはロイドと違って考えなきゃいけないことが多くて困っちゃうよ」
「はぐらかすなよ」
「……わかる?」
「ああ。何年お前の親友やってると思ってんだ?」
どこか誇らしげに胸を張る。
ロイドは嘘が嫌いだ。これ以上はぐらかそうとして怒らせたくはない。





「…ボク、ミトスのこと大好きだった…」
「……」
やっぱり。今の状況からして、ジーニアスが考えこむことといったらそれくらいしかない。


「オゼットで出逢ってから、きっといい友達になれると思ってた。何度も助けられて、すごく嬉しかった。けど…ミトスはそうは思ってなかったんだね…」
「……」
ロイドは何も言わない。静かに話すジーニアスの言葉を黙って聴いている。

「ボク、ボクね…。あの時、アルテスタさんの家でミトスがユグドラシルだって明かした時、言いかけた言葉があったでしょ?」
「ああ…」
だんだん、ジーニアスの声が震えてくる。
一言一言を、搾り出すように紡ぎ出す。


「ミトスは『信じられなかった』って言ったけど…でも、違うんだよ…。ボク、『やっぱり、あの時助けてくれたのはミトスなんだね』って、そう、言いたかったんだよ…」
「……」
あの時。
救いの塔で、プロネーマに殺されそうになった時。
敵である筈のユグドラシルが、ジーニアスを庇った。


「あの時のこと、『ありがとう』って、言いたかったんだ…。なのに……」
嗚咽が混じり、言葉が続かない。
涙が溢れそうになる。

「ミトスはボクのことなんか信じてなかったかもしれない。友達だなんて思ってなかったかもしれない…。でも…でもボクは……


ずっと友達だと思ってたよ………」



堪えきれず、蒼い瞳から涙が零れ落ちる。
一旦流れ始めると、止まらない。
しゃくり上げながら、膝を抱えてうずくまる。

ロイドは、暫くしてからゆっくり口を開く。

「確かにミトスは、今は敵だ。お前を騙したことを、許したくはない。でも俺は、一緒に旅してたミトスは、間違いなく友達だと思うぜ…?」
「…ロイド…」
振り向いて、優しい笑顔を向ける。
普段のロイドらしくない、どこか繊細な笑顔。

嬉しくて、哀しくて、涙が溢れて止まらない。

「…ありがと、ロイド。不覚だけど、ちょっと嬉しかったよ」
「不覚ってなんだよ!ほんとお前ヤな奴だな!」
「…ふふ…」
「………」
泣きながらだが、自然と笑顔が浮かぶ。
口ではああしか言えないが、本当に、感謝してる。
「ありがとう」いつかちゃんと伝えるから。

「もう遅いから、早く寝ようぜ」
「うん。でももう少しだけここにいたい。すぐ戻るから」
「そっか。じゃあ、あまり遅くなるなよ?」
「うん」





きっと友達だった。
きっと僕たちは友達だった。

だから、止めてみせる。





「ミトス…ありがとう。きみがあの時助けてくれたから、きみを止めに行けるよ……」

立ち上がる。
ロイドがさっき帰って行った方に、歩き出す。
しっかりと、地面を踏みしめて。






月明かりが綺麗だった。




















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後書き

TOS初小説です。突発的に1時間ちょっとでざかざか書いたものなので、うまく纏まらない…。
ミトス←ジーニアスっぽいですが違いますので。友情ですので。
更にはロイジニっぽいですが違いますので。友情ですので。
時間的にはいつなんだろう。まだクラトスとの決闘前…でしょうか(考えてなかった)
でも最初の小説にシンフォニア最愛キャラのジーニアスの話を書けて良かったです。

では、ここまで読んでくださってありがとうございました。

06.12.9